定期借家契約とは?なぜ増えている?メリット・注意点を解説
「定期借家」という言葉を、最近の賃貸物件探しで見かけることが増えたと感じる人もいるかもしれません。
実際、アットホームの2025年度の調査では、首都圏の定期借家物件の割合が全エリアで上昇しました。特に東京23区のマンションでは、面積帯を問わず上昇が目立っています。(アットホーム)
では、なぜ定期借家の物件が増えているのでしょうか。
定期借家契約には、貸主が将来の利用予定を立てやすいというメリットがあります。
それに加えて、現在のように賃料相場が上昇している局面では、契約期間を区切り、再契約のタイミングでその時点の市場環境を踏まえて条件を見直しやすいことも、選ばれる理由の一つと考えられます。
この記事では、定期借家契約の基本から、最近増えている背景、借りる側が知っておきたい注意点まで解説します。
定期借家契約とは?
定期借家契約とは、あらかじめ決めた契約期間が満了すると、更新されずに契約が終了する賃貸借契約です。
例えば「定期借家2年」という物件なら、原則として2年の契約期間が終わると契約も終了します。
普通借家契約のように、契約期間が終わった後に更新して住み続ける仕組みではありません。
ただし、貸主と借主の双方が合意すれば、契約終了後に改めて「再契約」することはできます。(国土交通省)
ここで大切なのが、更新と再契約は別物ということです。
• 更新:現在の契約を継続する
• 再契約:いったん契約を終了し、新しい契約を結ぶ
そのため、定期借家の物件を検討するときは、「2年後も住めるか」だけでなく、「再契約の可能性や条件はどうなっているか」を確認することが重要です。
なぜ定期借家の物件が増えている?
2025年度のアットホーム調査では、首都圏の定期借家物件の割合が全エリアで上昇しています。
ただし、この調査だけでは「なぜ増えたのか」までは分かりません。
そのため、ここでは制度の特徴と現在の賃貸市場から考えられる背景を見ていきます。

再契約時に条件を組み直しやすい
定期借家が選ばれる理由として、現在の賃料上昇局面では特に注目したいのが、契約満了後の再契約です。
例えば、月15万円で2年間の定期借家契約を結んだとします。
その2年後、周辺の賃料相場が上昇していたとしても、貸主が単純に、
「更新なので、来月から18万円です」
と一方的に決められるわけではありません。
普通借家契約では、賃料が経済事情や近隣相場などと比較して不相当になった場合に、借地借家法32条の借賃増減請求権が問題になります。(国土交通省)
一方、定期借家契約は、
契約期間満了 → 契約終了 → 合意すれば再契約
という仕組みです。(国土交通省)
例えば、
2026年
月15万円・定期借家2年で契約
↓
2028年
契約期間満了
↓
周辺相場などを踏まえて、貸主が
「月17万円なら再契約したい」と提示
という形で、新しい契約条件を話し合う機会を作りやすくなります。
もちろん、借主が17万円に納得しなければ再契約は成立しません。
※「定期借家なら家賃を自由に上げられる」という意味ではありません。
あくまで、いったん契約を終了させたうえで、双方が合意すれば新しい条件で再契約できるということです。
現在のように賃料相場が上昇している状況では、この仕組みが貸主側にとって重要な意味を持つ可能性があります。
契約期間や収益見通しを立てやすい
定期借家には、賃料以外にも貸主側のメリットがあります。
国土交通省は、定期借家について、契約期間や収益見通しが明確になり、賃貸経営の事業収益性の改善や不確実性の低減につながると説明しています。(国土交通省)
例えば、
• 将来、自分で住む予定がある
• 建て替えを予定している
• 大規模修繕を予定している
• 売却など将来の計画がある
といった物件では、契約期間をあらかじめ決められる定期借家と相性がよい場合があります。
このように、「一定期間だけ貸したい」という貸主側の事情に対応しやすいことも、定期借家が利用される背景の一つです。

定期借家契約は借主に不利?
定期借家契約は「契約期間が決まっているから、借主にとって不利なのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
例えば、転勤や進学などで「1~2年程度だけ住みたい」という人なら、契約期間が明確なことがメリットになる場合があります。
また、定期借家だからこそ募集される物件もあるため、普通借家だけに絞らず探すことで、選択肢が広がる可能性もあります。
大切なのは、自分がどのくらい住みたいのかを考えて契約を選ぶことです。
定期借家契約で注意したいポイント
契約満了後も住めるとは限らない
定期借家契約は、期間満了によって契約が終了します。
貸主と借主が合意すれば再契約できますが、再契約が保証されているわけではありません。(国土交通省)
長く住みたい場合は、契約前に再契約について確認しておきましょう。
再契約時の条件を確認する
再契約が可能な物件でも、
• 再契約後の賃料
• 再契約料などの費用
• 再契約時の審査
• 保証会社の手続き
などは物件によって異なります。
「再契約できます」という説明だけで判断せず、具体的な条件まで確認することが大切です。
契約期間中の賃料改定にも注意
定期借家だからといって、契約期間中の賃料を必ず固定しなければならないわけではありません。
国土交通省の定期賃貸住宅標準契約書では、契約期間中に賃料を改定しない方式のほか、一定の算定式によって改定する方式も示されています。(国土交通省)
そのため、契約前には「契約期間中に賃料改定があるのか」「改定方法はどうなっているのか」も確認しておきましょう。
定期借家契約には事前説明がある
定期借家契約では、契約を結ぶ前に、更新がなく、期間満了によって契約が終了することなどについて、貸主から事前説明を受ける必要があります。
この説明は、宅地建物取引業者による重要事項説明とは別のものです。(国土交通省)
「重要事項説明を受けたから、定期借家についても確認できている」とは限らないため、契約前に内容を確認しておきましょう。
定期借家の物件を契約する前に確認したい5つ
定期借家の物件が気になったら、次の5点を確認しておきましょう。
1. 契約期間はいつからいつまでか
2. 契約満了後に再契約できる可能性があるか
3. 再契約後の賃料や費用はどうなるのか
4. 契約期間中の賃料改定について定めがあるか
5. 中途解約の条件はどうなっているか
特に長く住む予定なら、「2年後も同じ条件で住める」と思い込まないことが大切です。
募集図面だけでは分からない条件もあるため、気になる点は申込み・契約前に不動産会社や管理会社へ確認しましょう。

よくある質問
Q.定期借家契約は2年経ったら必ず退去ですか?
原則として、契約期間が満了すると契約は終了します。
ただし、貸主と借主が合意すれば、改めて再契約して住み続けることは可能です。(国土交通省)
Q.定期借家なら家賃を自由に上げられますか?
いいえ。
定期借家でも、契約期間満了後に新しい賃料で再契約するには、貸主と借主双方の合意が必要です。
また、契約期間中の賃料改定についても、契約内容を確認する必要があります。
Q.定期借家契約は借主に不利ですか?
一概にはいえません。
一定期間だけ住みたい人には、契約期間が明確であることがメリットになる場合があります。一方、長く住み続けたい人は、再契約の可能性や条件を確認しておくことが重要です。
Q.定期借家契約でも再契約できますか?
できます。
ただし、更新ではなく、いったん契約を終了した後に新しい契約を結ぶ「再契約」です。再契約できるかどうかや条件は、物件ごとに確認しましょう。
まとめ
定期借家契約は、契約期間が満了すると更新されず、契約が終了する賃貸借契約です。
最近は定期借家物件の割合が上昇しており、首都圏では2025年度に全エリアで上昇しました。(アットホーム)
その背景には、将来の自己使用や建て替えなど、一定期間だけ貸したいという貸主側の事情があります。
さらに、現在のように賃料相場が上昇している局面では、契約満了後に再契約という形で、その時点の市場環境を踏まえて新しい条件を提示しやすいことも、定期借家を選ぶ理由の一つとして考えられます。
ただし、「定期借家なら家賃を自由に上げられる」という意味ではありません。
再契約には双方の合意が必要です。
定期借家の物件を見つけたら、契約期間だけでなく、再契約の可能性・再契約後の賃料・契約期間中の賃料改定・中途解約の条件まで確認して、自分の住み方に合うか判断しましょう。
