ペアローンとは?夫婦・親子・兄弟姉妹でも組める?仕組みと注意点を解説
住宅を購入するとき、1人の収入だけでは希望する金額の住宅ローンを借りられないことがあります。
そこで選択肢になるのが「ペアローン」です。
ペアローンというと夫婦で利用する住宅ローンというイメージが強いですが、
「親子でも組める?」
「兄弟や姉妹では?」
「結婚していなくても利用できる?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
結論からいうと、ペアローンを利用できる2人の関係については、金融機関や住宅ローン商品によって条件が異なります。
夫婦だけでなく親子などを対象としている金融機関もありますが、兄弟姉妹では利用できない商品もあります。
また、借入可能額を増やせることだけを理由にペアローンを選ぶのはおすすめできません。
2人がそれぞれ住宅ローンを契約するため、住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信)などのメリットがある一方、諸費用や将来の返済リスクについても理解しておく必要があります。
この記事では、ペアローンの仕組みから、誰と組めるのか、収入合算との違い、メリット・デメリットまで分かりやすく解説します。
ペアローンとは?
ペアローンとは、1つの住宅に対して2人がそれぞれ住宅ローンを契約する方法です。
たとえば夫婦で5,000万円の住宅を購入するとします。
- 夫:3,000万円を借りる
- 妻:2,000万円を借りる
というように、2本の住宅ローンを組み合わせて住宅を購入します。
2人の収入を利用できるため、1人で住宅ローンを組む場合より借入可能額を増やせる可能性があります。
ただし、「2人の収入を合わせて1本のローンを借りる」のではありません。
2人がそれぞれ債務者となり、2本の住宅ローンを契約することがペアローンの大きな特徴です。
一般的には、お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人になるなど、金融機関が定める条件を満たす必要があります。

ペアローンは誰と組める?
ここはペアローンを検討するときに特に注意したいポイントです。
「2人に収入があれば誰とでも組める」というわけではありません。
対象となる関係は金融機関・住宅ローン商品によって異なります。
夫婦
ペアローンの代表的な利用方法です。
共働き夫婦の場合、それぞれの収入をもとに住宅ローンを契約できます。
たとえば、
夫の年収:600万円
妻の年収:400万円
という世帯であれば、それぞれが住宅ローンの審査を受け、借入額を決定します。
ただし、2人とも住宅ローン審査を受けるため、どちらか一方が審査基準を満たさなければ、希望どおりのペアローンを組めないことがあります。
親子でもペアローンは組める?
親子でペアローンを利用できる住宅ローン商品もあります。
たとえば、親と子が同じ住宅に居住するケースなどです。
ただし、
- 親と子の年齢
- 返済期間
- 同居要件
- 所有関係
- 団信への加入
- 完済時年齢
などの条件が金融機関によって異なります。
特に親子の場合は、親の年齢によって借入期間が短くなる可能性があります。
また、ペアローンとは別に「親子リレーローン」という仕組みが用意されている場合もあります。
親子で住宅ローンを利用したい場合は、
ペアローンがよいのか、親子リレーローンなど別の商品がよいのか
まで比較することが大切です。
兄弟・姉妹でもペアローンは組める?
ここは金融機関による違いに注意してください。
兄弟姉妹だから必ずペアローンを組めるわけではありません。
金融機関によってペアローンを利用できる人の範囲が決められており、兄弟・姉妹を対象外としている商品があります。
そのため、
「兄弟2人で住宅を購入したい」
「姉妹でマンションを購入したい」
という場合、収入が十分だからといってペアローンを利用できるとは限りません。
兄弟姉妹で購入を検討している場合は、物件探しを進める前に、
利用予定の金融機関が兄弟姉妹によるペアローンを認めているか
を確認しておきましょう。
結婚していない2人でもペアローンは組める?
これも金融機関によって異なります。
住宅ローン商品によっては、
- 婚約者
- 事実婚のパートナー
- 同性パートナー
などによる申込みに対応している場合があります。
一方で、法律上の配偶者や一定範囲の親族などに対象者を限定している金融機関もあります。
「結婚していない=絶対にペアローンを利用できない」というわけではありませんが、利用条件を金融機関ごとに確認する必要があります。
ペアローンと収入合算は何が違う?
ペアローンと混同されやすいのが「収入合算」です。
どちらも2人の収入を利用して住宅ローンを借りる方法ですが、仕組みが違います。
| ペアローン | 収入合算 | |
|---|---|---|
| ローン契約 | 原則2本 | 原則1本 |
| 主な債務者 | 2人それぞれ | 1人 |
| 住宅ローン審査 | それぞれ審査 | 主債務者を中心に審査 |
| 住宅ローン控除 | 条件を満たせばそれぞれ対象 | 契約形態などにより異なる |
| 団信 | 原則それぞれ加入 | 商品・契約形態による |
| 諸費用 | 2契約分かかるものがある | 基本的に1契約 |
| 借入条件 | それぞれ設定できる場合あり | 基本的に1つ |
たとえば、5,000万円を借りる場合、
ペアローン
夫:3,000万円
妻:2,000万円
という2本の住宅ローンになります。
収入合算
夫を主債務者として、妻の収入を合算して5,000万円の住宅ローンを申し込む、といった形になります。
ただし、収入合算には「連帯保証型」「連帯債務型」などがあり、住宅ローン商品によって仕組みが異なります。
単純に「ペアローンと収入合算のどちらが得」と判断するのではなく、借入額・住宅ローン控除・団信・諸費用などを比較することが重要です。

ペアローンのメリット
1.借入可能額を増やせる可能性がある
ペアローンでは2人がそれぞれ住宅ローンを契約するため、1人だけで申し込むよりも合計の借入可能額を増やせる可能性があります。
特に共働き世帯では、希望する住宅の価格に対して1人の収入だけでは借入額が足りない場合の選択肢になります。
ただし、
「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は別です。
金融機関から借りられる上限まで借りるのではなく、将来の家計まで考えて返済額を決める必要があります。
2.2人とも住宅ローン控除を利用できる可能性がある
ペアローンでは、それぞれが住宅ローンの債務者になります。
そのため、住宅ローン控除の適用要件をそれぞれが満たしていれば、2人とも住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
ただし、住宅ローン控除には、
- 住宅の要件
- 入居要件
- 所得要件
- 借入期間
- 持分
- 年末時点のローン残高
などの条件があります。
ペアローンを組んだから自動的に2人とも控除を受けられるわけではありません。
3.それぞれ団信に加入できる
一般的なペアローンでは、それぞれが自分の住宅ローンについて団体信用生命保険(団信)に加入します。
たとえば、
夫:3,000万円
妻:2,000万円
のペアローンを組んでいて、夫が団信の保障対象となる状態になった場合、原則として夫側のローンが団信によって返済されます。
ここで重要なのは、
通常は妻の2,000万円まで自動的になくなるわけではない
という点です。
妻自身の住宅ローンはそのまま残るのが基本です。
なお、保障内容やペアローン向けの団信は金融機関・商品によって異なるため、契約前に確認してください。
4.それぞれ異なる借入条件を設定できる場合がある
金融機関によっては、
夫:変動金利・35年
妻:固定金利・25年
というように、それぞれ異なる借入期間や金利タイプを選択できる場合があります。
2本の住宅ローンを利用する特徴を活かして、世帯全体で返済計画を組み立てることもできます。
ペアローンの注意点
1.住宅ローンに関する諸費用が増えることがある
ペアローンは住宅ローンを2本契約します。
そのため、
- 金融機関の事務手数料
- 契約に関する費用
- 抵当権設定登記に関する費用
- 司法書士報酬
などについて、単独ローンより費用負担が増える可能性があります。
「借入可能額が増える」という部分だけでなく、住宅購入時の諸費用まで含めて比較しましょう。
2.どちらかの収入が減っても返済は続く
ペアローンで特に考えておきたいリスクです。
契約時には共働きでも、35年間ずっと同じ収入が続くとは限りません。
たとえば、
- 出産
- 育児
- 転職
- 独立
- 介護
- 退職
などによって、どちらかの収入が減少する可能性があります。
ペアローンを利用する場合は、
2人とも現在の収入を維持することを前提に借入額を限界まで増やさないこと
が重要です。
3.離婚したときに問題が複雑になりやすい
夫婦でペアローンを組む場合、将来離婚する可能性もゼロではありません。
問題になるのが、
- 誰が住宅に住み続けるのか
- 住宅を売却するのか
- 住宅ローンを誰が返済するのか
- 住宅の持分をどうするのか
- 相手の連帯保証関係をどうするのか
といった点です。
「離婚したから夫名義のローンを妻に変更する」といったことを当事者だけで自由に決められるわけではありません。
債務者の変更や借換えには金融機関の審査などが必要になります。
4.片方が亡くなっても、もう片方のローンは原則残る
ペアローンで誤解されやすいポイントです。
2人で合計5,000万円借りているからといって、一方が亡くなったときに5,000万円すべてが団信でなくなるとは限りません。
たとえば、
夫:3,000万円
妻:2,000万円
で、それぞれ通常の団信に加入している場合、夫が保障対象となれば夫側の3,000万円が保障されても、妻側の2,000万円は基本的に残ります。
万一の場合に、
世帯として住宅ローンがいくら残るのか
まで確認しておくことが大切です。
ペアローンでは住宅の「持分」にも注意
ペアローンで住宅を購入するときは、住宅の所有持分も重要です。
たとえば5,000万円の住宅を、
夫:3,000万円
妻:2,000万円
負担して購入する場合、それぞれの実際の資金負担と所有持分の設定に大きなズレがあると、状況によっては一方から他方への贈与として税務上の問題が生じる可能性があります。
住宅ローンの借入額だけではなく、
- 頭金を誰が出すのか
- それぞれいくら負担するのか
- 所有持分を何%にするのか
を整理しておきましょう。
持分について不明な点がある場合は、税務署や税理士などの専門家への確認も検討してください。
ペアローンはこんな人に向いている
ペアローンは、たとえば次のような世帯では検討する価値があります。
- 2人とも安定した収入がある
- 今後も共働きを続ける予定
- 1人では希望額まで借りられない
- 2人とも住宅ローン控除の要件を満たす可能性がある
- それぞれに合った返済計画を組みたい
ただし、現在の収入だけで判断しないことが重要です。
住宅ローンは数十年にわたって返済していく可能性があります。
現在の年収ではなく、将来どちらかの収入が減少しても返済を続けられるかまで考えて借入額を決めましょう。
ペアローンをおすすめしにくいケース
反対に、
- 近いうちにどちらかが仕事を辞める予定
- 収入の変動が大きい
- 2人の収入を最大限使わなければ返済できない
- 将来の家計について十分話し合えていない
- 諸費用をできるだけ抑えたい
といった場合は、慎重に検討した方がよいでしょう。
ペアローンを使って希望物件を「買える」ことより、購入後も無理なく「払い続けられる」ことの方が重要です。
ペアローンを組む前に確認したい7項目
住宅ローンの事前審査を申し込む前に、最低限次の項目を確認しておきましょう。
- 2人ともペアローンの申込条件を満たしているか
- それぞれいくら借りるのか
- 毎月の返済額はいくらになるのか
- どちらかの収入が減っても返済できるか
- 団信の保障範囲はどうなっているか
- 住宅ローン控除をそれぞれ利用できるか
- 購入資金の負担割合と住宅の持分が適切か
特に「いくら借りられるか」だけで判断しないことが大切です。
よくある質問
Q.ペアローンは夫婦しか利用できませんか?
いいえ。
金融機関・住宅ローン商品によっては、親子や一定の条件を満たすパートナーなどでも利用できる場合があります。
ただし、対象となる関係は金融機関によって異なるため確認が必要です。
Q.親子でペアローンを組めますか?
親子で利用できる住宅ローン商品があります。
ただし、年齢・返済期間・同居などについて条件が設定される場合があります。
親子リレーローンなど別の選択肢もあるため、比較して検討しましょう。
Q.兄弟・姉妹でペアローンを組めますか?
金融機関によります。
兄弟・姉妹によるペアローンを認めていない金融機関もあるため、「兄弟姉妹なら利用できる」と一律には判断できません。
必ず利用予定の金融機関の商品条件を確認してください。
Q.ペアローンなら借入可能額は必ず増えますか?
必ず増えるとは限りません。
2人それぞれについて年収、年齢、勤務状況、既存借入、返済負担率などをもとに審査されます。
希望する借入額で承認されないこともあります。
Q.ペアローンでは2人とも住宅ローン控除を受けられますか?
それぞれが住宅ローン控除の適用要件を満たしていれば、2人とも対象となる可能性があります。
ただし、住宅の要件、所得、借入期間、持分など複数の条件があるため、個別に確認する必要があります。
Q.ペアローンと収入合算はどちらがいいですか?
世帯によって異なります。
借入可能額だけではなく、
- 住宅ローン控除
- 団信
- 諸費用
- 将来の働き方
- 返済計画
まで比較して判断する必要があります。
まとめ|ペアローンは「いくら借りられるか」だけで決めない
ペアローンは、1つの住宅について2人がそれぞれ住宅ローンを契約する方法です。
夫婦だけでなく親子などでも利用できる商品がありますが、対象となる関係は金融機関によって異なります。
特に兄弟姉妹や婚姻関係にない2人で住宅を購入する場合は、利用予定の住宅ローンが対象としている関係を事前に確認することが重要です。
ペアローンには、
借入可能額を増やせる可能性がある
それぞれ住宅ローン控除を受けられる可能性がある
それぞれ団信に加入できる
といったメリットがあります。
一方で、
住宅ローンが2本になる
諸費用が増える可能性がある
どちらかの収入が減っても返済が続く
離婚時の整理が複雑になりやすい
一方の団信が適用されても、もう一方のローンは原則残る
といった注意点もあります。
住宅購入で重要なのは、借入可能額を最大化することではありません。
現在の収入だけではなく、10年後・20年後の家計まで考えて無理なく返済できる住宅ローンを組むことが大切です。
