賃貸の申込み後に仲介会社を変更できる?変更前に知っておきたい注意点
賃貸物件へ申込みをしたあと、
「担当者と連絡が取れない」
「説明に不安がある」
「別の不動産会社のほうが仲介手数料が安かった」
などの理由から、仲介会社を変更したいと思うことがあります。
結論からいうと、賃貸借契約を結ぶ前であれば、申込みを取り下げて別の仲介会社から申し込み直せる場合があります。
ただし、
「同じ物件だから、今の申込みをそのまま別会社へ移してください」
というように、簡単に仲介会社だけを差し替えられるとは限りません。
また、変更するタイミングによっては、希望していた部屋をほかの人に取られてしまう可能性もあります。
この記事では、申込み後に仲介会社を変更したい場合の実務上の流れと注意点をわかりやすく解説します。
まず結論|申込み後でも変更できる場合はある
状況を簡単に整理すると、次のようになります。
| 現在の状況 | 仲介会社の変更 |
|---|---|
| 問い合わせだけ | 基本的に可能 |
| 内見後・申込み前 | 基本的に可能 |
| 申込み後・審査前 | 可能な場合がある |
| 入居審査中 | 注意が必要 |
| 審査承認後・契約前 | 可能な場合はあるが慎重に |
| 賃貸借契約成立後 | 「仲介会社変更」ではなく契約解除の問題になる |
ポイントは、「申込み」と「賃貸借契約」は同じではないということです。
ただし、契約がいつ成立するかは個別の契約内容や手続きによって判断されるため、「契約書に署名していないから必ず未契約」と一律に判断するのは避けましょう。
申込み後は「仲介会社だけ変更」が難しいことがある
ここは勘違いされやすいところです。
たとえばA社を通して物件へ申込みをしている途中で、
「やっぱりB社に変更したい」
と思ったとします。
この場合、
A社からB社へ現在の申込み情報をそのまま引き継げるとは限りません。
実務上は、
- A社からの申込みを取り下げる
- 管理会社・貸主側で取り下げ処理をする
- B社から改めて申込みをする
という流れになることがあります。
つまり、「仲介会社変更」というより、
一度申込みを取り下げて、別会社から申し込み直す
という形になることがあるのです。

なぜ簡単に仲介会社を変更できないの?
賃貸の申込みでは、仲介会社が単に書類を提出しているだけとは限りません。
申込み後には、
- 管理会社とのやり取り
- 申込内容の確認
- 必要書類の案内
- 保証会社への審査手続き
- 入居日の調整
- 契約条件の確認
などが進められていることがあります。
そのため、途中から別の会社が「今日から弊社が仲介します」と簡単に引き継げないケースがあります。
特に保証会社の審査まで進んでいる場合には、管理会社側で現在の申込みを取り下げてから、新しい申込みとして処理する必要が生じることがあります。
申し込み直すと「1番手」を失う可能性がある
仲介会社を変更するときに、特に注意したいポイントです。
人気物件では、
- 1番手
- 2番手
- 3番手
というように申込みの受付順位が付いていることがあります。
たとえば現在1番手だったとしても、一度申込みを取り下げてB社から申し込み直した場合、必ず1番手のまま扱われるとは限りません。
取り下げから再申込みまでの間に別の申込みが入れば、順位が変わる可能性があります。
最悪の場合、
仲介会社は変更できたものの、希望していた部屋を借りられなくなる
ことも考えられます。
そのため、先に現在の申込みをキャンセルするのではなく、変更したい会社へ
「現在ほかの仲介会社から申込み中ですが、御社へ変更することはできますか?」
と相談しておくほうが安全です。

同じ物件なら別会社から申し込める?
別の仲介会社でも、その物件を取り扱えるのであれば申し込める可能性はあります。
ただし、すでにA社から申込みをしている状態で、同じ人がB社から重複して申込みを出すことはおすすめできません。
管理会社から見ると、
「同じ人から2件申込みが来ている」
状態になるためです。
仲介会社を変更したいのであれば、重複申込みをするのではなく、
現在の申込みをどう処理すればよいか確認してから進める
ことが大切です。
審査中でも仲介会社を変更できる?
審査中でも変更できる可能性はあります。
ただし、審査前より手続きが複雑になることがあります。
すでに、
- 保証会社へ審査を出している
- 管理会社が申込内容を確認している
- 貸主へ入居審査を依頼している
といった段階まで進んでいる可能性があるからです。
仲介会社を変更することで、
審査をいったん止めて、改めて手続きをし直す
ことになる場合もあります。
「審査結果が出るまでは待ったほうがいいのか」
「今変更しても問題ないのか」
については、新しく依頼したい仲介会社へ現在の進捗状況を伝えて確認しましょう。
審査に通ったあとでも変更できる?
審査承認後でも、賃貸借契約が成立する前であれば変更できる余地はあります。
ただし、この段階ではすでに、
- 契約開始日の調整
- 契約書類の作成
- 初期費用の計算
- 火災保険等の手続き
- 鍵交換の手配
などが進んでいることがあります。
そのため、申込み直後より慎重な判断が必要です。
特に「別会社のほうが少し安かった」という理由だけで変更する場合には、物件を失うリスクや手続きのやり直しまで含めて考えたほうがよいでしょう。
仲介手数料が安い会社へ変更したい場合
実際に多いのが、
「申込み後に調べたら、別会社の仲介手数料が安かった」
というケースです。
変更できる可能性はありますが、まず現在の仲介会社へ相談してみる方法もあります。
仲介手数料やサービス内容について確認し、それでも変更したい場合に別会社への切り替えを検討する流れです。
ただし、仲介手数料だけではなく、
- 契約条件の確認をきちんとしてくれるか
- 管理会社との調整がスムーズか
- 質問への回答が正確か
- 契約まできちんと対応してくれるか
なども含めて判断することをおすすめします。
初期費用を支払ったあとなら変更できない?
ここも「支払った=絶対に変更できない」とは限りません。
重要なのは、賃貸借契約が成立しているかどうかです。
契約成立前に仲介業者へ支払った金銭については、その金銭の性質や契約状況を確認する必要があります。
一方、すでに賃貸借契約が成立しているのであれば、単純な「申込みキャンセル」ではなく、契約解除として扱われる可能性があります。
その場合は契約書の内容に基づき、
- 仲介手数料
- 契約金
- 解約に関する費用
などの扱いを確認する必要があります。
「まだ入居していないから大丈夫」と自己判断せず、契約状況を確認しましょう。
契約後に仲介会社を変えたい場合は?
賃貸借契約が成立したあとでは、基本的に「仲介会社を変更する」という話ではなくなります。
仲介会社の主な役割は、物件紹介から賃貸借契約成立までの仲介です。
入居後の、
- 設備故障
- 騒音
- 更新
- 解約
- 退去
などについては、通常は管理会社や貸主が窓口になります。
そのため、
「契約した仲介会社の対応が悪かったから、入居後は別の仲介会社に変更したい」
という考え方とは少し異なります。
まず契約書などで、入居後の管理窓口を確認しましょう。

仲介会社を変更したいときのおすすめの進め方
いきなり現在の申込みをキャンセルするのではなく、次の順番で進めると安心です。
STEP 1
現在の申込み状況を確認する
審査前なのか、審査中なのか、承認済みなのかを確認します。
↓
STEP 2
変更したい仲介会社へ相談する
「他社から申込み中」であることを隠さず伝えます。
↓
STEP 3
同じ物件を取り扱えるか確認する
すべての不動産会社がすべての物件を仲介できるわけではありません。
↓
STEP 4
申込み順位への影響を確認する
申し込み直すことで1番手を失う可能性がないか確認します。
↓
STEP 5
現在の申込みをどう処理するか確認する
管理会社側の指示も含め、取り下げ・再申込みの手順を確認します。
↓
STEP 6
問題なければ変更手続きを進める
現在の会社と新しい会社へそれぞれ必要な連絡を行います。
「先にキャンセル」はおすすめしない
仲介会社を変更したいと思ったときに、
「とりあえず今の会社をキャンセルしてから考えよう」
と進めるのはあまりおすすめできません。
一度申込みを取り下げると、その間に別の申込みが入る可能性があるからです。
特に人気物件では、短時間で次の申込みが入ることもあります。
変更できるか確認 → リスクを確認 → 現在の申込みを取り下げる
という順番で進めるほうが安全です。
よくある質問
Q. 申込みをしたら、その仲介会社で契約しないといけない?
必ずしもそうとは限りません。
賃貸借契約が成立する前であれば、申込みを取り下げられる場合があります。
ただし、別会社へ変更する場合には、現在の申込みを取り下げて再申込みが必要になることがあります。
Q. 同じ物件を別の会社から同時に申し込んでもいい?
おすすめできません。
同じ入居希望者から複数の申込みが届くことになり、管理会社側で確認が必要になる可能性があります。
変更したい場合は、新しい仲介会社へ現在申込み中であることを伝えて相談しましょう。
Q. 仲介会社を変えたら審査結果も引き継がれる?
必ず引き継がれるとは限りません。
管理会社や保証会社、申込み方法によっては、再申込みや再審査になる可能性があります。
Q. 1番手のまま仲介会社だけ変えられる?
管理会社などの運用によります。
仲介会社を変更するために現在の申込みを取り下げる場合、受付順位を維持できるとは限りません。
変更前に確認することをおすすめします。
Q. 初期費用を払ったあとでもキャンセルできる?
支払いの有無だけでは判断できません。
賃貸借契約が成立しているか、支払った金銭が何の費用なのかによって扱いが変わります。
契約前なのか契約後なのかを確認したうえで、仲介会社へ返金の扱いを確認しましょう。
まとめ|変更できるかより「どう変更するか」が重要
賃貸物件へ申込みをしたあとでも、契約成立前であれば仲介会社を変更できる場合があります。
ただし、
現在の申込みをそのまま別会社へ移せるとは限りません。
一度申込みを取り下げ、別の仲介会社から申し込み直す必要があるケースもあります。
その場合、
- 1番手を失う
- 別の人に物件を取られる
- 審査をやり直す
- 契約開始日の調整をやり直す
といった可能性があります。
そのため、仲介会社を変更したい場合は、現在の申込みを先にキャンセルするのではなく、新しく依頼したい会社へ「他社から申込み中」であることを伝えて相談するのがおすすめです。
仲介会社を変更すること自体だけでなく、「変更した結果、希望していた物件を借りられなくならないか」まで考えて判断しましょう。
