たばこを吸った場合の退去時のクロス張替え費用について解説

「普通に住んでついたキズや汚れは(経年変化)なので貸主の費用負担ですよ」
「わざとうっかりキズや汚れをつけてしまった場合は故意・過失なので借主の費用負担になりますよ。」
部屋を借りる時にこんな説明されたのを覚えていますでしょうか。退去時や契約時に退去時クリーニング費用を部屋の広さによって支払うことが多いですが、そのクリーニング費用にプラスして費用が発生するのがこの故意・過失部分です。
では、今回のテーマである喫煙によってクロス等がヤニで変色、臭いが付着した場合のクロスの張替え費用は果たしてどちらの負担になるのでしょうか。
たばこを吸ったらクロス張り替え費用は請求される?
結論
喫煙によってクロス(壁紙)がヤニで変色したり、臭いが付着した場合は、原則として借主負担になる可能性があります。
しかし、
- 居住年数
- 契約書の特約
- 喫煙禁止物件かどうか
によって請求される金額は大きく変わります。
「7年間住んだから全部無料になる」
「タバコを吸ったら必ず全額払う」
どちらも正しくありません。
この記事では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」をもとに、不動産会社の立場から分かりやすく解説します。
まず知っておきたい「通常損耗」と「故意・過失」の違い
賃貸契約では退去時によくこのような説明を受けます。
「普通に生活してできたキズや汚れは貸主負担です。」
「故意・過失によるキズや汚れは借主負担です。」
これが原状回復の基本ルールです。

喫煙によるクロスの張り替え費用は誰が負担する?
原則は借主負担
国土交通省のガイドラインでは、
喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり、臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多い
とされています。
つまり、
喫煙によるヤニ汚れや臭いは通常損耗ではなく、借主負担になるケースが多いということです。
さらに、禁煙物件で喫煙した場合は、契約違反(用法違反)として判断される可能性もあります。
ただし「全額請求」とは限らない
ここで重要なのが、
減価償却(経年劣化)の考え方です。
国土交通省のガイドラインでは、
クロスの耐用年数は6年とされています。
つまり、
新品のクロスも年月が経つにつれて価値は下がっていきます。
そのため、
借主が負担するのは、
新品価格ではなく、残っている価値に対する修繕費
という考え方になります。

7年間住んだらクロス代は請求されない?
例えば、
7年間住み続けた部屋で喫煙していた場合。
クロスは耐用年数の6年を超えているため、
ガイドラインの考え方では、
クロスの価値は1円まで減少している
とされています。
そのため、
原則だけで考えれば、クロス張り替え費用を請求できる金額はほとんどありません。
ここで
「じゃあ7年住めばタバコを吸っても無料なの?」
と思う方もいるでしょう。
実はそうとは限りません。

実際には契約書の「特約」が重要
現在の賃貸契約では、
次のような特約が入っているケースが非常に多くあります。
喫煙によりクロス等が変色・臭気が付着した場合は、借主が張替え費用を負担するものとし、経過年数は考慮しない。
このような内容について、
契約時に
- 説明を受け
- 内容を理解し
- 合意して契約している
のであれば、
減価償却を考慮せず借主負担となる可能性があります。
特約が有効になるための条件
特約なら何でも有効になるわけではありません。
判例やガイドラインでは、
次の3つが重要とされています。
① 特約に合理的な必要性があること
貸主が一方的に有利になる内容ではなく、合理性があること。
② 借主が通常ルールより重い負担を理解していること
契約時に十分な説明があり、借主が内容を理解していること。
③ 貸主・借主双方が合意していること
契約書への署名・押印などにより合意していること。
この3つを満たしている場合は、特約が有効になる可能性が高くなります。
よくある質問
Q. タバコを吸っていただけで必ず全額請求されますか?
いいえ。
居住年数や契約内容によって変わります。
Q. 7年以上住んでいれば請求されませんか?
ガイドラインではクロスの価値はほぼゼロになります。
ただし、
「経過年数を考慮しない」という特約がある場合は請求される可能性があります。
Q. 電子タバコでも同じですか?
電子タバコは紙巻きたばこよりヤニは少ないとされていますが、電子タバコ含むという物件が多いです。
臭いや変色の程度によっては原状回復費用を請求される可能性があります。
まとめ
原則
喫煙によるヤニや臭いは借主負担になることが多い
クロスの耐用年数は6年
ガイドラインでは経過年数に応じて減価償却される
例外
契約書で
- 喫煙時のクロス張替え
- 経過年数を考慮しない
という特約があり、
その内容について説明・合意がされている場合は、その特約が優先される可能性があります。
実際の契約書は経過年数考慮しませんという物件が多いです。

