不動産売却の流れ|査定から引渡しまで
不動産を売ろうと思っても、
「まず何から始めればいいの?」
「不動産会社に頼んだら、あとは待つだけ?」
「いつお金を受け取れるの?」
など、分からないことも多いでしょう。
不動産売却は、査定から始まり、買主を探して売買契約を結び、最後に代金を受け取って物件を引き渡す、という流れで進みます。
ただし、売り出した価格で必ず売れるわけではありません。また、買主が見つかっても、すぐに売却代金を全額受け取れるわけではありません。
この記事では、初めて不動産を売却する方に向けて、査定から引渡しまでの手順と、それぞれの段階で確認しておきたいことを分かりやすく説明します。
不動産売却の流れは大きく8ステップ

まずは、売却が終わるまでの順番を見てみましょう。
これは、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」で売却する場合の基本的な流れです。
不動産会社が直接買い取る「買取」では、買主を探す販売活動などが省略されることがあります。
① 不動産会社に相談して査定を受ける
最初にするのは、不動産会社への売却相談です。
不動産会社は、物件の場所、広さ、築年数、建物の状態、周辺の取引事例などを調べ、どのくらいの価格で売れそうかを考えます。
これを「査定」といいます。
査定価格は、必ず売れる金額ではない
例えば、不動産会社から「3,000万円くらいで売れそうです」と査定されたとします。
しかし、これは3,000万円で売れることを約束するものではありません。
実際には、2,900万円で売れることもあれば、3,100万円で売れることもあります。
査定価格は、あくまで売却価格を考えるための目安です。
査定額が高いという理由だけで不動産会社を選ばず、その金額になった理由も確認しましょう。
② 売出価格と売却方法を決める
査定結果を参考に、実際にいくらで売りに出すかを決めます。
ここで覚えておきたいのが、3つの価格の違いです。
- 査定価格: 不動産会社が「このくらいで売れそう」と考えた価格
- 売出価格: 売主が実際に売りに出す価格
- 成約価格: 最終的に買主と合意して売買契約を結んだ価格
この3つは、同じ金額になるとは限りません。
また、「できるだけ高く売りたい」のか、「決まった時期までに売りたい」のかによっても販売方針は変わります。
売却を急ぐ場合には、不動産会社などが直接購入する「買取」も選択肢になります。ただし、仲介と比べて売却価格が低くなる場合もあるため、価格と売却までの期間を比較して考えましょう。
③ 不動産会社と媒介契約を結ぶ
仲介で売却する場合、売却を依頼する不動産会社と「媒介契約(ばいかいけいやく)」を結びます。
難しい名前ですが、簡単にいうと、「この家を売るお手伝いをお願いします」という契約です。
媒介契約には3種類あり、不動産会社への頼み方や、会社から受けられる報告などが違います。
媒介契約3種類の違い

一般媒介|複数の不動産会社に頼める
例えば、A社・B社・C社の3社に、同時に売却をお願いできます。
また、売主が自分で買主を見つけて、直接売買契約を結ぶこともできます。
複数の会社に依頼できる一方、問い合わせや販売状況を売主自身が整理する必要が出てくる場合もあります。
専任媒介|1社に頼んで進める
売却をお願いする不動産会社は1社だけです。
ただし、その会社が見つけた買主でなくても、売主が自分で買主を見つけた場合には、直接契約できます。
不動産会社には2週間に1回以上、販売活動の状況を報告する義務があります。
1社と相談しながら進めたい方にとって、検討しやすい方法です。
専属専任媒介|売却の窓口を1社にまとめる
こちらも依頼する不動産会社は1社だけです。
専任媒介との大きな違いは、売主が自分で買主を見つけた場合でも、依頼した不動産会社を通して契約する点です。
活動報告は1週間に1回以上必要で、3種類の中では報告の間隔が最も短くなっています。
どの媒介契約を選べばいい?
複数の会社にお願いしたいなら一般媒介、1社に任せて進めたいなら専任媒介や専属専任媒介が候補になります。
ただし、専属専任媒介だから必ず早く売れる、一般媒介だから必ず高く売れる、ということではありません。
販売方法、担当者の対応、物件の条件、売出価格なども重要です。
また、専任媒介・専属専任媒介の契約期間は3か月を超えることができません。一般媒介については同じ法定上限はありませんが、契約期間や更新方法を確認しておきましょう。
レインズって何?
レインズは、不動産会社同士で売却物件の情報を共有する仕組みです。
例えば、売却をA社にお願いしていても、レインズを見たB社が購入希望者を紹介することがあります。
つまり、1社に売却を頼んだからといって、その会社のお客様にしか売れないわけではありません。
専任媒介・専属専任媒介では、レインズへの登録が義務付けられています。
④ 販売活動を始める
媒介契約を結び、売却の準備が整ったら、買主を探す販売活動が始まります。
不動産会社は、インターネットの物件情報サイトや自社ホームページへの掲載、他の不動産会社への紹介などを行います。
購入を検討している人が実際に室内を見ることを「内見」といいます。
住みながらでも売却できる?
住んでいる状態でも売却できます。
ただし、購入希望者が室内を見学する場合には、日程を調整する必要があります。
また、販売活動を始めても、すぐに買主が見つかるとは限りません。
問い合わせが少ないときは、売出価格だけでなく、物件写真、広告内容、周辺の競合物件なども確認します。
売れないからといって、すぐに値下げする必要があるとは限りません。
不動産会社と販売状況を確認しながら判断しましょう。
⑤ 購入申込みが入ったら条件を確認する
購入希望者が「この物件を買いたい」と考えると、購入申込書などを提出することがあります。
例えば、3,000万円で売り出している物件に対して、「2,900万円で購入したい」という申込みが入ることもあります。
売主は、希望価格を受け入れるか、別の金額を提案するかなどを検討します。
確認するのは価格だけではありません。
- いつ売買契約を結ぶか
- いつ物件を引き渡すか
- 買主は住宅ローンを利用するか
- その他に希望する条件があるか
なども確認します。
購入申込みが入っただけでは、通常、まだ売買契約は成立していません。
お互いの希望を調整し、条件がまとまったら売買契約に進みます。
⑥ 売買契約を結ぶ
売主と買主が条件に合意したら、売買契約を結びます。
売買契約とは、「この物件を、この条件で売ります・買います」という正式な約束です。
契約前には、宅地建物取引士による重要事項説明などが行われます。
売買契約書では、売買代金、引渡し日、契約解除の条件などを確認します。
手付金とは?
売買契約のときに、買主から売主へ「手付金」が支払われることが一般的です。
例えば、3,000万円で売買契約を結び、手付金が100万円だった場合、残りの2,900万円は通常、決済日に支払われます。
手付金は売買代金の一部に充当されることが一般的ですが、契約内容を確認する必要があります。
また、契約後に売主・買主の都合で契約をやめる場合、手付解除や違約金などの問題が生じることがあります。
売買契約を結んだ後は、自由に取り消せるわけではないため、契約条件を十分に確認しましょう。
売主が知っている不具合も伝える
雨漏り、設備の故障、建物の不具合など、売主が知っていることは、契約前に不動産会社へ正確に伝えておくことが重要です。
後から「聞いていなかった」というトラブルを防ぐためにも、物件の状態や引き渡す設備について確認しておきましょう。
⑦ 決済・引渡しの準備をする
売買契約を結んでも、まだ売却は終わりではありません。
最後に物件を引き渡すための準備をします。
住んでいる場合は引越しを進め、必要な書類や鍵などを用意します。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている物件でも売却はできます。
ただし、通常は売却代金などで住宅ローンを完済し、金融機関が設定した「抵当権」を抹消する必要があります。
抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合などに備えて、金融機関が不動産に設定する権利です。
売却代金だけで住宅ローンを完済できない場合には、不足するお金をどう用意するか、事前に金融機関などと確認する必要があります。
マンション・戸建て・土地では準備が違う
マンションでは、管理費・修繕積立金などの精算や、管理関係の書類・鍵などの引継ぎが必要になることがあります。
戸建てや土地では、境界の確認、測量、建物や設備の状態などが重要になる場合があります。
何をどこまで行うかは、物件の状況や売買契約の内容によって異なります。
⑧ 残代金を受け取り、物件を引き渡す
最後が「決済・引渡し」です。
決済とは、買主から残りの売買代金を受け取る手続きです。
一般的には、次のようなことを行います。
- 買主から残代金を受け取る
- 固定資産税など、契約で定めた費用を精算する
- 必要に応じて住宅ローンを完済する
- 所有権移転や抵当権抹消などの登記手続きを進める
- 鍵や必要書類を買主に引き渡す
これらは同じ日に連携して進めることが多く、司法書士や金融機関、不動産会社などが関わります。
売買契約の日と、残代金を受け取る決済の日は、別の日になることが一般的です。
決済・引渡しが完了すると、不動産売却の大きな手続きは一区切りとなります。
不動産売却にはどのくらいの期間がかかる?
売却にかかる期間は、物件の場所、価格、状態、買主の状況などによって変わります。
売り出してすぐに買主が見つかることもあれば、数か月以上かかることもあります。
また、買主が決まってからも、住宅ローンの手続きや引越し、引渡し準備などが必要です。
そのため、転勤や住み替えなどで売却期限が決まっている場合は、余裕を持って準備することをおすすめします。
売却前に確認したい3つのこと
① 住宅ローンはいくら残っている?
住宅ローンが残っている場合は、現在の残高を確認しておきましょう。
売却代金だけで完済できるかどうかによって、資金計画が変わります。
② 売却後にいくら手元に残る?
例えば、3,000万円で売却できても、その3,000万円がすべて手元に残るわけではありません。
仲介手数料、登記関係の費用、住宅ローンの返済などが必要になることがあります。
また、売却によって利益が生じた場合は、税金がかかることもあります。
売却価格だけでなく、費用やローン返済を差し引いた手取り額も確認しておきましょう。
③ いつまでに売りたい?
「できるだけ高く売りたい」のか、「決まった時期までに売りたい」のかによって、売出価格や販売方法の考え方は変わります。
最初の相談時に、希望する売却時期も伝えておくことが大切です。

不動産を売却した後の税金は?
不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に対する税金がかかることがあります。
ただし、税金の計算でいう利益は、単純に「売却価格-購入価格」ではありません。
購入時の取得費や売却にかかった費用なども関係します。
また、自宅を売却した場合は、一定の条件を満たせば3,000万円の特別控除などを利用できることがあります。
特例の利用には確定申告が必要になるため、売却後の税金についても確認しておきましょう。
よくある質問
Q.査定をお願いしたら、その会社に売却を頼まないといけない?
いいえ。査定を受けただけで、必ずその会社と媒介契約を結ぶ必要はありません。
査定の根拠や販売方法などを比較して、依頼する会社を決められます。
Q.不動産会社を1社に絞ると、買主もその会社からしか見つからない?
いいえ。専任媒介や専属専任媒介でも、レインズなどを通じて、他の不動産会社が買主を紹介することがあります。
Q.買主が決まったら、すぐに売却代金を受け取れる?
通常は、売買契約時に手付金を受け取り、残代金は決済日に受け取ります。
具体的な支払時期は売買契約で定めます。
Q.売却するとき、必ず先に引越しが必要?
いいえ。住みながら売却活動を行うこともできます。
ただし、引渡し時に空室にする契約であれば、それまでに引越しを終える必要があります。
まとめ|売却は順番を知っておくと進めやすい
不動産売却は、査定から始まり、売出価格の決定、媒介契約、販売活動、売買契約、決済・引渡しという順番で進むのが基本です。
特に覚えておきたいのは、次の3つです。
- 査定価格で必ず売れるわけではない
- 媒介契約には3種類あり、不動産会社への頼み方が違う
- 売買契約を結んでも、決済・引渡しが終わるまでは手続きが続く
不動産売却では、物件によって必要な準備や確認事項が異なります。
まずは「いくらで売れそうか」「いつまでに売りたいか」「売却後にいくら残りそうか」を整理し、不動産会社と相談しながら進めていきましょう。
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